Daedelus – インタビュー

Daedelus plays Tokyo for RBMA – Interview Main Image

ギリシャ神話でダイダロスと言えば、不幸な運命を辿ることになる息子イカロスのために翼を作ったという逸話で知られている、工匠・職人である。何千年の歴史を経て、この名前は、Alfred Darlington同じように巧みに作られた電子音楽の活動に使われるようになった。最初はウッドベース演奏をメインにジャズを学んでいたが、サンプルをやエレクトロのビートを用いた音楽づくりに惹かれるようになっていった。2001年に一作目のアルバムをリリース、2008年にはNinja Tune と契約を結んだ。Daedelusは、エキセントリックなヴィクトリア調の衣装とMonomeのボタンを一心にはじき続けるパフォーマンスで知られている。Monomeは、ラベルやアイコンの一切く、表面にはバック・ライトのついたボタンがグリッド状に並ぶだけの、ボックスの形をしたラップトップ・コントローラーである。RBMA Weekenderに参加するため、来月日本を訪れる予定で、現在ヨーロッパツアー中のAlfredを捕まえ、彼の音楽観について訊いてみた。

Alfred、現在ツアー中だと聞いていますが、今どこにいて、今日は何を食べたのか教えてください。また、ライブの様子はいかがでしたか。

そうそう、ちょうど”Kulturnatten”に出演するためにコペンハーゲンに着いたところ。このイベントでは、市内の公園すべてが明け方まで開放され、意外な人々が思いがけない場所に繰り出して来てパーティーするんだ。食に関して言えば、僕は味だけじゃなく文化的な意味でもコーヒーにうるさいんだけど、エスプレッソを飲んでみたい場所を2か所ほど見つけたよ。食べ物はまだちゃんと試してないけど、早く何か見つけて食べてみなくては。昨日はオランダのユトレヒトにいて、落ち着いた感じのアップテンポからダンサブルなものまでをプレイしてきた。

ステージで、Monomeを使うことで有名ですが、どうしてこのデヴァイスを使うことにしたのですか。

電子音楽をライブで行うことは複雑で、最新のコンピュータ技術が許す限りのありとあらゆる音を使いたい一方で、ライブ音楽はインプロや、観客とのインタラクションで変化する「息の通った」ものでなければならない。僕は、純粋にウッドベースを弾いていたころから、こういったことばかりを気にしているんだ。2003年、初めてMonomeを目にしたとき、これこそ未来型のパフォーマンスだと思ったんだ。電子音楽でも生演奏でもね。コントロールのツールとして素晴らしく思えた。何年も経った今でも同じように感じられるし、このデヴァイスの新しい使い方も次々に発見しているよ。

今、「ラップトップ・パフォーマー」が溢れかえっていると思われますか。そんな中で、敢えてビジュアルに訴えかけるようなスタイルを保っているのですか。

そうだね。一般的に言って、残念ながらDJカルチャーはインタラクションにかけていると思う。日本人DJのECDが、僕が見た中では初めてこの条件を突き破って、DJブースを前に向けてプレイするDJだった。大方のDJは、ラップトップ・パフォーマは、自らはコンピュータの後ろ側に隠れてしまっている。でも僕は、今の観客が音楽の制作にどのような要素が関わっているかよく知っていると思うんだ。だから、機材を観客側に向ければそれだけで、聴く側と聴かせる側の対話がしやすくなるはず。

電子音楽界にとって、次の潮流はどのようなものだと思いますか。

スタイルは目まぐるしく変わっていくし、若い聴衆は、一つの添付にはまったかのように思えれば次のものに移っていく。サウンドとはあらゆるジャンルを乗り越える偏在的なもの。僕は、次世代のプロデューサー達が、ダンスの定義を押し広げているけれど、こうした動きは1990年代にラップ音楽が起こしたような大変化をもたらすに違いない。でもこれは受容の問題に過ぎず、誰でもがツールを手に入れることができるということ、音楽スタジオがモバイル化するということが実際的な次のステップだと思う。コーラスでは、声の数が多ければ多いほど仕上がりを豊なものにすることができるけど、電子音楽においても、プロデューサーの数が多ければ多いほど音楽シーンが豊になる。

どういったきっかけで、トラックを制作するようになったのかお聞かせください。

まず、僕にはこれといったスタイルがないことを認めなきゃいけないね。いつも違ったテイストに仕上がってくる。僕のつくるアルバムは、それぞれサウンドとスタジオ技術をそのときの好みが掛け合わせたもので、最終的に似たような楽曲が集まったものができる。最新作、Anticon の”Drown Out” がそのいい例で、様々なステレオ圧縮、 生音を試し、ステガノグラフィーを目指したんだ。こういったアイディアと同時並行で作曲活動をしてアルバムが出来上がった。と言っても、最初にメロディが出来ていたものもあれば、最初はドラム音から始まったものもある。

Frostyと組んでAdventure Timeとしても活躍されていますが、ソロ活動のときとどのように違いますか。

Adventure Timeは僕とFrostyから成るユニットで、新しいことをしたり、冒険したりして楽しむことをモットーにしている。最初のアルバム”Dreams of Water Themes”は主に、Frostyの膨大な量の世界中からかき集めたビニール盤のサンプルから成っている。2014年には新作LP盤が出される予定で、これは宇宙をテーマにした作品なのだけれども、それでも驚くほどの数のサウンドのサンプル詰まっている。

Daedelusの中で、私のお気に入りおプレイは、2008年のSonarで、日中に屋外のテントで行わたときのものです。Daedelusの音楽がそういった環境にもしっくりくるとは驚きでした。どのような環境で演奏するのが一番好きで、またその理由は何ですか。

Monomeのおかげで、あらゆる環境にも適応できるようになったが、これはマンネリから抜け出すための絶好のチャンスだ。そうは言っても、一番いいのは、観客との距離が近く、僕から観客の目が見えて、観客からは僕の手元が見える場合。これがお気に入りのシチュエーションかな。

これまでに悪夢のようなライブはありましたか。

もちろん。でも重要なのは、どれでだけライブが酷いかとか、誰がビールを投げたとか、コンピューターがどれだけ大雨に降られたとかではなくて、困難が大きくてもそれを乗り越えてよいショーを作ろうとする意志だと思っている。こうした困難に打ち勝ったとき、最悪に思えたショーが最高の思い出に変わったりするんだ。それ最高の満足だよ。

Daedelus とAdventure Timeは、11月2日東京で開かれるRBMAウィークエンド・フェスティバルのthe Beacon in the Cityに出演予定。詳細と前売り券の情報はRed Bull Musicでチェック

執筆:Mark Birtles

翻訳:Asuka O.

2013年10月29日