The Brixton Academy - Bright As Diamonds

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The Brixton Academy(TBA)は失恋の乗り越え方を学びつつあるようだ。今回紹介する最新のフルレングスアルバム『Bright As Diamond』でも、お決まりの交雑した自己喪失と心痛の表現は健在だが、今回は意外にもお洒落に仕上がっている。昨年ブレイクしたアルバム『Vivid』のアンニュイな雰囲気と、ダンスフロア向けのアルバム『L.O.T.』の要素を融合し、今作では悲哀を大胆に表現。色っぽささえ所々に含まれる。『Vivid』や『Bright As Diamond』ほどではないが、TBAは曲作りに自信をつけてきているようだ。


The Brixton Academy – Youth by tokyoindie

今作でも基本的にはいつものように、ニューウェーブの音に乗せて苦しみを表現するTBA。その声はときどき、カエルのカーミット(セサミストリートのキャラクター)を彷彿させる。しかし、『Bright As Diamond』では全てが簡潔にまとまっている。トラック1の“Neons Bright”は高音のシンセサイザー音で構成されるが、ビート音が入ることで全てがうまく融合し、弾みのあるダンスナンバーに仕上がっている。“One Time, OneNight”と“When My Anthem Was Played”は、今までのTBAらしさがさらに凝縮され、80年代への回帰が完璧といっていいほど成功している。

『Bright As Diamonds』では、いつものTBAらしさを脱皮する瞬間に最高潮を迎える。“Youth”はギター音をメインに、ジョン・ヒューズの映画のようなクライマックスを作り上げる。しかし驚いたのは、最もミニマルな楽曲“Two Shadows United”だ。空間的な音を大胆に利用した今作のJunior Boysを思わせる色気のあるジャムは、落ち着いたひと時を提供する。実際の歌詞では失った誰かを想う一方、楽曲はベッドインの準備万端というように楽観的にさえ聞こえる。実に巧妙なのだ。

残念ながら、アルバム中盤はこのアルバムの落ち目である。最初の5曲が作り上げた勢いが、その後の2曲のインストトラックで台無しになっているのだ。“Pyxis”と“It’sCosmic”は、「曲」として成立しておらず、曲になる前の「下書き中の曲」のよう。前者では特にそれが顕著で、後者を聞いていると次の曲が待ちきれなくなる。

イマイチな仕上がりのこの8分間は別にして、『Bright As Diamond』は日本の有力バンドの素晴らしいアルバムだ。今作は斬新さには欠けているし、昨年の“So Sad” ほど悲嘆へのアプローチにも欠けている。しかし、バンド自体がより自信をつけているのが伝わるキャッチーな作品である。心の内に潜む不安や動揺を表現しつつ、これほどダンスフロア向きの音楽はなかなかない。

URL: http://the-brixton-academy.com/

執筆:Patrick St. Michel

翻訳:永田 衣緒菜

日本のオルタナティブミュージックシーンの動向に関するより詳しい情報はPatrickのブログをチェック – Make Believe Melodies

2011年9月27日